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ある起業家のキャリア調査から整理した、事業家として必要な能力

ある生成AIスタートアップ創業者のキャリアや事業づくりを調べる中で、事業家に必要な能力をProduct / Execution / Distribution / Economicsの4領域で整理した。さらにProductをOpportunity Sensing / Problem Hypothesis / Problem Validation / Solution・Value Propositionに分解し、自分が今後鍛えるべき「良い課題仮説を作り続ける力」と「最初の10人へ届き、1人に売る力」を明確にした。

最近、自分の今後のキャリアを考える材料として、ある生成AIスタートアップの創業者について調べた。

関心を持った理由は、技術を起点にしながら、顧客課題、商品設計、販売、事業モデル、仕組み化まで一貫して扱っていたことにある。

調査を進める中で、自分が目指したい事業家像や、今後鍛えるべき能力についていくつか整理できた。

個人開発を事業づくりの練習として使う

その起業家は、起業以前から個人開発を継続していた。

重要だと感じたのは、個人開発を単なる技術検証としてではなく、

企画 → 開発 → 集客 → マネタイズ → 運用

まで経験する場として使っていたことだった。

個人開発を事業づくりの練習として考えるなら、必要なのは実装だけではない。

  • 誰の課題を扱うか
  • 何を提供するか
  • どう届けるか
  • どのように課金するか
  • 作ったあとどう運用するか

まで含めて一周する必要がある。

また、先に顧客やマネタイズ方法を考える、小さく早く作る、固定費を持たないといった考え方も一貫していた。

強みは、事業探索のループを回せること

当初は、その起業家を「技術とDistributionの両方が強い人」と捉えていた。

ただ、調べていくと、より重要なのは次のループを速く回せることだと整理した。

技術 → MVP → 顧客接触 → 販売 → デリバリー → 共通化 → 商品化 → 次の顧客

例えば、SaaSとして売りにくい場合には、SaaSそのものに固執せず、持っている技術基盤を受託開発の競争力として使う。

受託の中で繰り返し使うものは共通化し、MVP開発をパッケージ化し、必要に応じてコンサルティングへ展開する。

特定のビジネスモデルにこだわるというより、

手元の技術資産を顧客価値と売上にどう変換するか

を優先していると捉えた。

事業づくりの能力を4領域で整理する

今回の調査を通じて、事業づくりに必要な能力を次の4領域で考えるようになった。

Product / Execution / Distribution / Economics

それぞれの役割は以下の通り。

  • Product:誰のどんな課題を解き、何を提供するか決める
  • Execution:実際に作り、提供可能な状態まで持っていく
  • Distribution:顧客へ届き、提案し、買ってもらう
  • Economics:売上、コスト、利益、事業構造を成立させる

これまで自分は、事業家になるなら営業やマーケティングを主戦場にする必要があるというイメージを持っていた。

一方、自分の強みはExecution寄りで、Productにも一定の経験がある。

今回の調査によって、

ExecutionやProductを主軸にしたまま事業家になることは可能

と整理できた。

4領域はレベルで考える

各領域は「できる・できない」ではなく、レベルで考えた方がよい。

例えば次の4段階で整理できる。

  • Level 1:触ったことがある
  • Level 2:自分で一周できる
  • Level 3:再現性を持って成果を出せる
  • Level 4:大規模にスケールさせられる

事業を作るために、

Product 4 / Execution 4 / Distribution 4 / Economics 4

である必要はない。

初期段階では、各領域がLevel 2程度あり、

一人でも事業仮説を一周できる状態

の方が重要だと考えている。

そのうえで、強みになる領域はLevel 3〜4まで伸ばす。

弱い領域で大きな能力が必要になった場合は、採用、外注、提携、M&Aなどで補完すればよい。

Productも一枚岩ではない

これまではProduct全体を「2〜3程度」とまとめて評価していた。

ただ、今回さらに考えると、Productの中にもかなり凸凹がある。

少なくとも、自分の中では次の4つに分けて考えた方が分かりやすい。

Opportunity Sensing

課題がありそうな場所に気づく力。

例えば、

  • 妙に手間がかかっている業務
  • 同じ作業を何度も繰り返している場面
  • 不満はあるが「そういうもの」と諦められていること
  • 技術変化によって新しく解けるようになったこと
  • 制度変更によって新しく発生した不安や手間
  • 顧客行動の変化によって既存解決策が合わなくなっている場面

などから、

「ここに何かありそう」

と察知する段階になる。

Problem Hypothesis

観察した事象を、検証可能な課題仮説へ変換する力。

例えば、

「○○な人は、△△な状況で、□□に困っているのではないか」

という形まで具体化する。

今回、自分の能力獲得が特に手薄だと認識したのはこの領域だった。

Problem Validation

顧客ヒアリングや行動観察を通じて、

  • 本当にその課題が存在するか
  • どの程度頻繁に起きるか
  • どの程度強い痛みなのか
  • 現在どう対処しているか
  • 解決にどれくらいの価値があるか

を確認する力。

ここは、これまでのプロダクトディスカバリー経験を通じて比較的経験を積めている。

Solution / Value Proposition

検証された課題に対して、

  • 何を提供するか
  • どの程度まで解決するか
  • 顧客にとって何が価値なのか
  • どのようなMVP、サービス、オファーにするか

を設計する力。

ここも、Productの中では比較的強みがある領域だと考えている。

Productの現在地を分解する

Product全体を一つの数字で評価するより、内部を分けた方が現在地が見えやすい。

現時点の感覚としては、概ね次のようになる。

  • Opportunity Sensing:1〜2
  • Problem Hypothesis:1〜2
  • Problem Validation:2〜3
  • Solution / Value Proposition:2〜3

つまり、自分のProduct能力の強みは、

既に見えている課題を整理・構造化し、検証し、解決策へ変換する後半部分

にある。

一方で、

  • そもそもどこに有望な課題があるのかを察知する
  • 観察した事象から良い課題仮説を作る

という前半部分は、まだ重点的に鍛える余地が大きい。

「Productが得意か、不得意か」ではなく、Product内部にも強弱があると考えた方がよい。

Distributionは「強い・弱い」だけでは捉えにくい

当初は、その起業家について「Distributionが弱い」と捉えていた。

ただし、実際には事業初期の段階で、

  • 顧客を見つける
  • オファーを作る
  • 売り方を変更する
  • PoCや開発案件を獲得する
  • MVPをパッケージ化する
  • コンサルティングを販売する

ところまで進めている。

したがって、

事業仮説を検証するためのDistributionは十分に持っている

と考えた方が自然だった。

一方で、

  • 安定的に大量の案件を獲得する
  • 大企業への販売網を持つ
  • 営業組織を大規模に運営する
  • ブランドやマーケティングで継続的に需要を作る

といった能力は別のレベルにある。

ここまで考えると、「顧客を獲得したことがある」という事実だけではDistribution能力を評価できないことも分かる。

例えば、既存サービスで顧客がいても、その接点が、

  • たまたま知人だった
  • 既存の仕事関係から相談された
  • 偶然紹介された

といった偶発的なものだけであれば、次の顧客への到達方法を自分で設計できるとは限らない。

重要なのは、

「次の顧客を連れてきて」と言われたときに、自分で到達経路を設計できるか

という点になる。

その意味では、

顧客獲得実績 ≠ Distributionの再現性

として分けて考えた方がよい。

Distributionには3種類の資産がある

Distributionをさらに分解すると、少なくとも3種類の資産を区別できる。

Customer Asset

すでにつながっている顧客そのもの。

例えば、

  • 人事担当者100人との関係
  • 既存ユーザーリスト
  • 過去顧客

など。

同じ顧客群を対象に新しいサービスを作る場合には強い資産になる。

一方で、対象顧客が変わると再利用しにくい。

Channel Asset

特定の顧客群へ到達するために確立した経路。

例えば、

  • 人事担当者ならこのコミュニティで見つかる
  • LinkedInのこの条件で対象者を探せる
  • この検索キーワードから問い合わせが来る
  • この紹介ルートから商談につながる

といったもの。

Customer Assetよりは再利用しやすいが、基本的には特定の顧客群に強く紐づく。

Distribution Capability

新しい顧客群でも、

誰が顧客か
→ どこにいるか
→ どう接触するか
→ 何を訴求するか
→ 実際に反応を得られるか

を探索し、最初の顧客獲得経路を作れる能力。

Customer AssetやChannel Assetと違い、こちらは市場が変わっても比較的持ち運べる。

自分がキャリア上で身につけたいのは、このDistribution Capabilityの部分だと整理できた。

DistributionのLevelを分けて考える

Distributionについては、次の5段階で考えると分かりやすい。

Level 0:未経験

顧客候補をどこで見つければよいか分からない状態。

Level 1:偶発的アクセス

知人や既存関係など、条件が良ければ顧客へ接触できる。

顧客獲得の経験があっても、次の顧客への到達方法を自分で設計できるとは限らない。

Level 2:探索できる

新しい事業仮説でも、課題保有者がどこにいるかを考え、10人程度へ到達できる。

そのうち数人へ提案し、少なくとも1人から対価を受け取れる。

同じチャネルを毎回使う必要はなく、市場に応じてアクセス方法を変えられる。

ここで重要なのは、

Level 2 = チャネル探索の再現性

という点。

Level 3:再現可能なチャネルを持つ

特定顧客群について、一定の確率でリード、商談、受注を生み出せるチャネルが確立されている。

例えば、

  • LinkedIn DM → 商談
  • 広告 → LP → 問い合わせ
  • SNS → 商談

といった流れが一定の再現性を持って機能している状態。

こちらは、

Level 3 = 特定チャネルの再現性

と捉えられる。

Level 4:スケールできる

人、資本、ブランド、営業組織、広告などを投入し、顧客獲得量を大きく増やせる。

事業家として初期から必要なのはLevel 4ではない。

まずはLevel 2まで到達し、新しい市場でも自分で最初の顧客獲得経路を探索できる状態を作ることが重要だと考えている。

Distribution Level 2とProblem Discoveryでは、学習の性質が違う

ここで、DistributionとProductの前半では、学習の性質に違いがあることにも気づいた。

Minimum Viable Distributionの範囲で見ると、初期顧客へのアクセス方法は比較的いくつかの型に整理できる。

例えば、

  • 既存ネットワーク
  • 紹介
  • コミュニティ
  • 直接アウトバウンド
  • SNS / コンテンツ
  • 課題が顕在化している場所
  • 少額広告

など。

これらを実際に何度か経験すると、

「この顧客群なら、この辺を探せば最初の10人には届きそう」

という基本的なチャネル探索能力を身につけられる可能性が高い。

その先では、特定チャネルのCVR改善、コピー、ターゲティング、営業プロセス、広告運用など、Level 3以降の質・再現性・スケールを高めるテーマが中心になる。

その意味で、Distribution Level 2までは比較的、

代表的な型を一通り経験し、市場に応じて使い分ける感覚を身につける

という性質が強い。

一方で、Productの前半にあたるOpportunity SensingやProblem Hypothesisは、探索空間がかなり広い。

誰の、どんな状況に、どんな未解決の課題が存在しているか

は、同じ市場、同じ職種、同じ業務の中でも多数の候補がある。

そのためProblem Discoveryは、手法を一通り知れば終わる能力というより、

良い課題仮説を継続的に生成する力を鍛え続ける領域

として捉えた方がよいと考えている。

Distribution Level 2は当面の弱点を埋めるテーマとして到達点を置きやすい。

一方、Problem Discoveryは市場や技術、制度、顧客行動が変わるたびに新しい課題を見つける必要があり、長期的に磨き続けるコア能力になりうる。

自分の現在地

このフレームで自分を評価すると、当初は次のように考えていた。

  • Product:2〜3
  • Execution:3〜4
  • Distribution:0〜1
  • Economics:経験が少ない

ただし、ProductとDistributionを分解すると、少し評価が変わる。

Productについては、

  • Opportunity Sensing:1〜2
  • Problem Hypothesis:1〜2
  • Problem Validation:2〜3
  • Solution / Value Proposition:2〜3

くらいの凸凹がある。

Distributionについても、過去に採用領域のプロダクトディスカバリーを行った際、人事や採用担当者へ直接連絡した経験がある。

初動では4人に連絡し、4人全員とヒアリングできた。

追加で1〜2人とはすぐに話せる状態で、必要であれば紹介で人数を増やす余地もあった。

この経験を踏まえると、Distribution全体が0というより、

  • Access:2程度
  • Interview:2〜3程度
  • Offer:1程度
  • Close / Sell:1程度

と考える方が正確だと思う。

一方で、この顧客接点には既存ネットワークが使えている。

そのため、現在地をより厳密に見るなら、Customer AssetやNetwork Outboundを使ったアクセス経験はあるが、Distribution CapabilityとしてLevel 2に到達したとはまだ言い切れない。

自分の事業探索ループを分解する

ここまでの整理を一つの流れにすると、自分がどこで強く、どこが手薄かが見えやすい。

課題の兆候を見つける

課題仮説を作る

課題保有者を連れてくる

ヒアリングして検証する

解決策を設計する

実装する

価格を提示する

売る

提供して学習する

現時点で比較的強いのは、

  • ヒアリング
  • 課題の整理・構造化
  • 解決策設計
  • Execution / 実装

のあたり。

一方、今後重点的に鍛えたいのは、

  • 課題の兆候を見つける
  • 課題仮説を作る
  • 課題保有者へのアクセス経路を作る
  • 価格提示・販売

の部分になる。

中央部分は比較的経験を積めている一方で、探索の入口と出口がまだ弱い。

この見方をすると、ProductとDistributionを別々の科目として学ぶより、事業探索ループ全体のどこが弱いかで考えた方がよい。

最初の10人に届く方法は限定されている

「顧客を集める」と考えると、SNS、SEO、LP、広告などを連想しやすい。

ただし、初期の事業探索で必要なのは1000人ではなく10人程度でよい。

10人であれば、

  • 知人
  • 知人からの紹介
  • 所属コミュニティ
  • XやLinkedInでの直接連絡
  • SNSやコンテンツ
  • 業界コミュニティ
  • イベント
  • 少額の検索広告

など、人力中心の方法でも到達できる。

初期段階では、スケーラブルな集客基盤を作る必要はない。

非スケーラブルでも、最も速く10人へ届く手段を使う

方が合理的だと考えている。

知人への直接連絡も一つの型として扱う

以前、採用担当者へのヒアリングについては、

「たまたま知り合いに対象者がいたからできただけ」

と評価していた。

ただ、実際に行ったことを分解すると、

ターゲットを定義する
→ 自分のネットワークを探す
→ 直接連絡する
→ ヒアリングする
→ 必要なら紹介を依頼する

という流れになっている。

これは、1〜2次ネットワークから顧客候補を探す方法として一般化できる。

仮に Network Outbound と呼ぶなら、Distributionの一つの手段として扱える。

ただし、これは特定の市場で使える一つのChannel Assetに近い。

重要なのは、どの市場でも同じ手段を使うことではない。

欲しいのはチャネル探索の再現性

Distributionの再現性には、少なくとも二種類ある。

一つは、

特定のチャネルから継続的に顧客を獲得できること。

もう一つは、

市場ごとに適切なアクセス手段を見つけられること。

例えば、

  • この市場なら知人
  • この市場ならコミュニティ
  • この市場ならX
  • この市場なら検索広告

と判断できる状態。

事業探索の段階で必要なのは、後者だと考えている。

「知人DMを何度でも再現できるか」ではなく、

次の市場でも、その市場に合った10人へのアクセス方法を見つけられるか

が重要になる。

これは、先ほどのLevel定義でいうDistribution Level 2にあたる。

「顧客は動かしにくい」も同じフレームで説明できる

ここまで考えると、複数サービスを展開するときに「顧客は動かしにくい」と言われる理由も同じフレームで説明できる。

例えば、人事担当者向けのサービスAを提供していて、次にサービスBを作る場合を考える。

Bも人事担当者向けであれば、既存のCustomer AssetやChannel Assetをかなり再利用できる。

一方、Bが経理担当者向けなら、既存顧客そのものはほぼ使えない。人事向けに機能していたチャネルも、そのままでは使えない可能性が高い。

さらに、Bが一般消費者向けなら、顧客もチャネルも大きく変わり、ほぼ新しくDistributionを探索する必要がある。

つまり、

Productは比較的自由に変えられても、Distributionは顧客群に強く紐づいている。

新しい顧客群へ展開することは、新しいProductを作るだけではなく、

Distributionも新しく開発する

ことに近い。

一方で、特定のCustomer AssetやChannel Assetを使い回せなくても、Distribution Capabilityまで失われるわけではない。

新しい市場でも、誰が顧客か、どこにいるか、どう接触するか、何を訴求するかを探索できれば、最初の顧客獲得経路をもう一度作れる。

ここに、持ち運べる能力としてのDistribution Capabilityの価値がある。

そして、このDistribution Capabilityの前段にはProblem Discoveryがある。

Problem Discoveryは、そもそもどの課題保有者を探しに行くべきかを決める力。

Distribution Capabilityは、その課題保有者へどう到達するかを設計する力。

この2つが揃うことで、

何を探索するかを決める → その人たちに会いに行く

までを自力で進められる。

Distributionの学習は「一周」で数える

今後は、

  • 広告を勉強した
  • LPを作った
  • SNS投稿をした

といった単位ではなく、事業探索の一周を単位として考えたい。

具体的には、

10人を見つける
→ 5人と話す
→ 3人に価格付きで提案する
→ 1人が買う

までを一周とする。

同じ事業でも、

  • ターゲット
  • オファー
  • チャネル
  • 価格

を変えれば複数回試せる。

重要なのは、毎回同じチャネルを成功させることではない。

異なる市場でも、最初の10人への到達方法を探索し、一人に販売するところまで進められる経験を重ねること。

この経験を重ねることで、

「この課題なら、このあたりから10人程度にはアクセスできる」

という感覚を持てるようになる。

これをDistribution Level 2の一つの目安として考えている。

目指すキャリア像

今回の調査を通じて、自分が目指したい方向も整理できた。

マーケティングや営業を主職能にしたいわけではない。

目指したいのは、

Executionを最も強い武器として持ちながら、Product・Distribution・Economicsにも最低限自分で責任を持ち、事業仮説を一人で一周できるBuilder / 事業家

という形になる。

能力は均等でなくてよい。

例えば、

Product 3〜4 / Execution 4 / Distribution 2 / Economics 2〜3

のような構成でもよい。

ただし、Product 3〜4を目指すと言っても、すべての下位能力が同じレベルである必要はない。

自分の場合は、Problem ValidationやSolution / Value Propositionは比較的経験がある一方、Opportunity SensingやProblem Hypothesisは今後の重点になる。

Distributionについても、巨大な集客チャネルを自分で持つ必要はない。

新しい事業仮説でも、顧客群を定義し、その人たちがどこにいるかを考え、最初の10人への接点を作り、少なくとも1人に販売するところまで進められれば、Level 2として一つの到達点になる。

本格的なスケールが必要になった段階で、Distribution Level 3〜4の人や組織と組む選択肢もある。

弱い領域をすべて専門家レベルまで伸ばす必要はない。

直近の重点は2本立てになる

これまで直近の重点は、主にDistributionをLevel 2まで引き上げることだと考えていた。

今回Productを分解したことで、重点は二つに分けた方がよいと考えるようになった。

重点1:Problem Discovery / Problem Hypothesis

良い課題仮説を継続的に作れるようになる。

具体的には、

市場・顧客・業務・技術・制度・行動変化を観察する
→ 違和感や非効率を拾う
→ 課題仮説にする
→ 顧客に当てて検証する

という反復を増やす。

これは短期的な穴埋めというより、今後も長期的に磨き続けるコア能力候補として位置づけたい。

市場や技術、制度、顧客行動が変化すれば、新しい課題も生まれる。

そのためProblem Discoveryには明確な終点を置きにくい。

重点2:Minimum Viable Distribution

作った課題仮説に対して、

最初の10人を見つける
→ 5人程度と話す
→ 数人に価格付きで提案する
→ 1人から実際に対価を受け取る

ところまで持っていけるようにする。

既存ネットワークや紹介だけでなく、コミュニティ、直接アウトバウンド、SNS、コンテンツ、必要に応じて少額広告などの初期チャネルを一通り経験する。

目的は、一つのチャネルを極めることではない。

顧客群に応じて最初のアクセス経路を設計できる状態

を目指す。

Distributionについては、Level 2までなら代表的な型を実践し、最初の10人への行き方を自分で設計できるようになることで、一旦の到達点が見えやすい。

一方でProblem Discoveryは、より長期的に強みに育てるテーマになる。

今回の整理

今回の調査を通じて、自分が目指したい状態は次のように整理できた。

Executionを強みにしながら、良い課題仮説を作り、その仮説を最初の顧客10人に当て、1人に売るところまで自力で回せる状態を作る。

そのために、直近で重点的に鍛えるのは二つになる。

  1. 良い課題仮説を作り続ける力を育てること
  2. その仮説を最初の10人に当て、1人に売るところまで進めること

Distributionは、当面の弱点をLevel 2まで埋めるテーマとして考えている。

代表的な初期アクセス方法を実践し、市場ごとに最初の10人への経路を設計できるようになれば、一つの到達点を置ける。

一方でProblem Discoveryは、今後の事業家としての強みに育てたいテーマになる。

顧客群が変われば、Customer AssetやChannel Assetはかなり作り直しになる。

それでも、新しい市場でどの課題を探索するかを決め、その課題保有者への最初の経路を作る力は持ち運べる。

Problem Discoveryで何を探索するかを決め、Distribution Capabilityでその人たちに会いに行く。

そこに、既に比較的強みのあるProblem Validation、Solution / Value Proposition、Executionをつなげる。

この一連の事業探索ループを自力で回せる状態を作ることが、今の自分が目指す事業家像に最も近い。

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